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新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 2021~2025年度

電気自動車用革新型蓄電池開発

Overview

電気自動車駆動用の革新的蓄電池を実現するブレークスルー技術の創出を目指す。

地球温暖化防止のためにCO2排出に対して削減目標が掲げられています。重要な施策の一つが自動車の電動化と考えられており、自動車メーカーからは電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の販売台数を2020年代中に年間数百万台規模とする計画も発表されています。しかしながら、現状のEV・PHEVに使われる車載用蓄電池(バッテリー)は、利便性(航続距離、充電時間など)が不十分でまた製造コストも高いために、これら電動車の普及への高い障壁となっています。そのため、蓄電池に対しては高エネルギー密度化による性能向上とコスト低減が強く求められています。本プロジェクトではこれまでのプロジェクト成果(※)を踏まえ、エネルギー密度と安全性の両面から高いポテンシャルを有し、かつ我が国発の高いオリジナル技術をもつ「フッ化物電池」と、安全性に大きなメリットがあり低コスト化にも有利な「亜鉛負極電池」の2種類の電池系をターゲットとし、2021年度から5年計画で新たな研究開発に着手しました。
※NEDO事業 RISING (2009-2015年度)および RISING2(2016-2020年度)

本事業では、リチウムイオン電池と異なり資源制約が少ない安価な材料を使用しながらも、高いエネルギー密度と優れた安全性を両立することができる「フッ化物電池」と「亜鉛負極電池」の研究開発を実施します。これらをEVやPHEV向けとして早期に実用化することで、自動車産業や蓄電池産業の競争力維持・向上につなげることを目指し、産学官で連携して材料開発から電池設計・試作や特性評価・解析まで対応する共通基盤技術の研究開発に取り組みます。さらに、NEDOがこれらプレーヤーの英知を事業内で好循環させるマネジメントを行うことで、革新的な車載バッテリーの実用化を実現する技術的なブレークスルーの創出を目指します。

研究内容

Research
1

フッ化物電池の研究開発

開発目標

2Ah 級セルを試作し、各種性能特性を実証します。

  1. 充放電効率:90%以上
  2. 重量エネルギー密度:500Wh/kg 以上
  3. 体積エネルギー密度:1,000Wh/L 以上
  4. サイクル容量劣化:10%以下(100 サイクル後)
  5. 充電受入性:1C レート以上
  6. 安全性:内部短絡・過充電等の異常時に発火・発煙無し

セル試作・特性評価の結果に基づき、今後の実用化開発を経て実現されるバッテリーパックの性能・コストを推定し、実用化目標を達成可能なことを確認します。

Research
2

亜鉛負極電池の研究開発

開発目標

5Ah 級セルを試作し、各種特性評価試験を行って下記を実証します。

  1. 充放電効率:90%以上
  2. 重量エネルギー密度:200Wh/kg 以上
  3. 体積エネルギー密度:500Wh/L 以上
  4. サイクル容量劣化:10%以下(100 サイクル後)
  5. 充電受入性:3C レート以上
  6. 安全性:内部短絡・過充電等の異常時に発火・発煙無し

セル試作・特性評価の結果に基づいて、今後の実用化開発を経て実現されるバッテリーパックの性能・コストを推定し、実用化目標を達成可能なことを確認します。

研究成果

参画機関

京都大学【代表機関】、東京工業大学、早稲田大学、ダイキン工業株式会社、トヨタ自動車株式会社、日産自動車株式会社、パナソニック エナジー株式会社、株式会社本田技術研究所、旭化成株式会社、エナジーウィズ株式会社、日本電気株式会社、大阪大学、大阪公立大学、九州大学、東京大学、東北大学、名古屋大学、名古屋工業大学、兵庫県立大学、三重大学、山口大学、立命館大学、産業技術総合研究所、高エネルギー加速器研究機構、ファインセラミックスセンター