亜鉛空気電池
亜鉛は、マンガン乾電池などの使い切り電池(一次電池)では古くから安定した実績のある負電極材料で、正極として空気(酸素)を利用する空気電池は補聴器などに使われています。負極に亜鉛、正極に空気を用いる充電可能な電池(二次電池、蓄電池)ができれば、モバイル用途のみならず、電気自動車や再生可能エネルギーのバックアップなどにも展開できると期待されています。
特徴・長所
- 空気極の利用により理論エネルギー密度が高い
- 水系電池であり安全
- 安価な材料でセルを構築できる
研究開発課題
- 高容量・高サイクル寿命亜鉛負極の開発
- 高活性空気極触媒の開発
- 高エネルギー密度を達成するセル構成の提案

研究開発のポイント
- 負極(亜鉛極):セル内充填率・利用率とサイクル寿命の両立
- 正極(空気極):酸素還元/酸素発生二元機能を有し、かつサイクル特性に優れた触媒の開発
- セル特性を支配する諸因子の解明
研究成果
新規空気極触媒および厚膜亜鉛極の開発により、試作セルにて高エネルギー密度を実現

試作セルの外観とその充放電特性:
8Ah級セルで311Wh/kgのエネルギー密度を実証

新規空気極触媒SFCGOの構造
(中性子 Rietveld 解析結果)

X線CTによる亜鉛極断面を観察:
この手法の活用により亜鉛極の耐久性向上をはかる

SFCGOを用いた空気極のサイクル特性